周年行事や表彰、施設の完成に合わせた催しを企画するなかで、「これは式典に当たるのか」「一般的なイベントや儀式とは何が違うのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

式典は、単に人を集めて行う催しではなく、祝賀・記念・表彰などの目的を持ち、一定の形式や進行に沿って行われる公式な行事です。ただし、式典には周年式典や表彰式、社員総会、竣工式などさまざまな種類があり、目的や参加者によって適した形は異なります。

本記事では、式典の意味や特徴、イベント・儀式・行事との違い、企業で行われる主な種類を解説します。自社に適した式典を考えるためのポイントも紹介するため、企画の方向性を整理したい方はぜひ参考にしてください。

式典とは?意味をわかりやすく解説

式典とは?意味をわかりやすく解説

式典とは、祝賀や記念、表彰などの目的を持ち、あらかじめ定めた形式や進行に沿って行われる公式な行事です。会社や団体にとって重要な節目や功績、施設・事業の開始や完成などを参加者と共有するために行われます。

一般的な辞書でも、式典は「祝賀・記念などを一定の形式に従って行う行事」と定義されています。通常の催しと比べて、開催目的や進行、参加者の役割が明確に定められている点が特徴です。

式典を構成する3つの要素

自社で予定している催しが式典に当たるかどうかは、次の3つの要素から判断できます。

1.公式に共有する目的がある

式典には、組織として参加者に共有したい明確な目的があります。たとえば、会社の節目を祝う、社員の功績を称える、関係者へ感謝を伝える、今後の方針を表明する、施設や事業の完成・開始を知らせるなどです。

単に人を集めて楽しむだけではなく、会社や団体として伝えるべき意味を持っていることが、式典の特徴です。

2.一定の形式や進行がある

式典は、開会、主催者挨拶、式辞や祝辞、表彰や宣言、閉会など、事前に定めた流れに沿って進行します。実施する内容は式典の種類によって異なりますが、参加者が式の趣旨を理解できるよう、順序立てて構成されるのが一般的です。

3.主催者と参加者の役割が明確である

式典では、主催者、参加者、来賓、受賞者、司会者など、それぞれの立場や役割が明確です。誰が式辞を述べるのか、誰を祝うのか、誰にメッセージを届けるのかが整理されています。

式典かどうかを判断するときは、「会場が豪華か」「服装がフォーマルか」といった見た目だけでなく、開催目的、形式・進行、参加者の役割が定められているかを確認することがポイントです。

式典は必ずしも堅く厳かな行事とは限らない

式典というと、厳粛な雰囲気のなかで挨拶や式辞を行う、堅い催しをイメージするかもしれません。しかし、すべての式典を同じ雰囲気で行う必要はありません。

企業が行う式典では、公式な進行を保ちながら、映像や音楽、懇親会、参加型の企画などを組み合わせることがあります。たとえば、周年式典の後に懇親会を開く、表彰式にパーティーを組み合わせる、社員総会の後に交流企画を行う、竣工式と施設見学会を同日に実施するといった形式です。

式典とイベントは、どちらか一方を選ぶ排他的な関係ではありません。式典で正式なメッセージを伝え、イベントで交流や体験を生み出すなど、目的や参加者に合わせて組み合わせることができます。

式典と儀式・行事・イベント・セレモニーの違い

式典と儀式・行事・イベント・セレモニーの違い

式典は「行事」や「イベント」の一種ですが、そのなかでも形式性と公式性が高い催しです。「儀式」と意味が重なる場合もありますが、企業では祝賀・記念・表彰などを目的として、一定の進行に沿って行う公式な行事を式典と呼ぶことが一般的です。

一方、行事やイベントは、社内運動会や展示会、パーティーなども含む幅広い言葉です。式典とイベントを対立するものとして捉えるのではなく、イベントという広い枠組みのなかに、公式性の高い式典が含まれると考えると理解しやすいでしょう。

言葉意味・対象範囲形式性公式性企業での例
式典節目や功績などを公式に共有する行事高い高い周年式典、表彰式、竣工式
儀式慣習・宗教・伝統などに基づいて行う定型的な行為高い内容による地鎮祭、神事
行事定期的・慣例的に行われる催しの総称幅広い幅広い入社式、運動会、研修
イベント人を集めて行う催し全般幅広い幅広い展示会、パーティー、社内イベント
セレモニー式典や儀式を表す外来語高い傾向高い傾向オープニングセレモニー

式典と儀式は、明確に分けられない場合もあります。たとえば地鎮祭は、神事としての儀式性を持つ一方で、工事の開始を関係者と公式に共有する式典としての性格もあります。

また、セレモニーは式典全体を指すだけでなく、テープカットや除幕など、式典内の正式な一場面を表す場合もあります。行事とイベントは式典よりも広い概念であり、そのなかに式典や儀式が含まれることがあります。

企画書や社内説明では、催し全体を「イベント」、公式な進行部分を「式典」、伝統や慣習に基づく行為を「儀式」と整理すると、内容や目的を正確に伝えやすくなります。

企業で行われる式典の種類

企業で行われる式典の種類

企業で行われる式典は、会社の節目を祝うもの、社員の功績を称えるもの、経営方針を共有するもの、施設や事業の開始を知らせるものなどに分けられます。式典の名称だけで選ぶのではなく、誰に何を伝えたいのかという開催目的から考えると、自社に適した形式を判断しやすくなります。

【目的別・式典の種類一覧表】

開催目的主な式典主な参加者伝える内容
会社の節目を祝う周年式典、創立記念式典、記念式典社員、取引先、顧客会社の歴史、関係者への感謝、将来像
社員の功績を称える表彰式、永年勤続表彰社員、役員功績、評価基準、模範となる行動
経営方針を共有する社員総会、全社集会、キックオフ社員、役員業績、目標、経営方針
施設や事業の節目を示す竣工式、落成式、開所式、開業式取引先、地域関係者、社員完成や開始の報告、感謝、今後の展望
組織への参加や門出を示す入社式、内定式、退任式社員、内定者、役員歓迎、期待、感謝、門出
工事の安全や開始を祈る地鎮祭、起工式、上棟式施主、施工会社、関係者安全祈願、工事開始、工事の節目

周年式典・記念式典

周年式典は、会社の創立や設立から10周年、20周年、50周年などの節目を迎えた際に行う式典です。社員や取引先、顧客などにこれまでの歩みを伝え、支えてくれた関係者へ感謝を示すとともに、今後の方針や将来像を共有します。

一方、記念式典は、周年に限らず、受賞、事業目標の達成、新制度の開始など、特定の出来事を記念して行う式典の総称です。そのため、周年式典や創立記念式典も、広い意味では記念式典の一種といえます。

参加者は社員だけの場合もあれば、取引先や顧客、地域関係者などを招く場合もあります。誰と節目を共有し、何を伝えたいのかによって、招待する対象や式典の構成が変わります。

表彰式・社員総会などの社内向け式典

社内向けの式典には、表彰式、社員総会、全社集会、キックオフなどがあります。いずれも社員が一堂に会し、功績や方針を組織全体で共有する場です。

表彰式では、優れた成果を上げた社員やチーム、長年勤務した社員などを公式に称えます。受賞者を評価するだけでなく、会社が重視する行動や価値観を全社員へ示す役割もあります。

社員総会や全社集会では、業績、経営方針、今後の目標などを共有します。キックオフは、新年度や新しいプロジェクトの開始時に、目標や役割を確認し、参加者の方向性をそろえるために行われるものです。

一つの催しのなかで、方針発表、表彰、交流企画を組み合わせる場合もあります。ただし、それぞれの目的を明確にし、何を最も伝えたいのかが曖昧にならないように構成する必要があります。

竣工式・開所式などの社外関係者を招く式典

建物や施設、事業の完成・開始に合わせて行う式典には、竣工式、落成式、開所式、開業式などがあります。取引先や施工会社、地域関係者などを招き、完成や開始を正式に報告するとともに、協力への感謝や今後の展望を伝えます。

竣工式は、建物や施設の工事が無事に完了したことを祝い、関係者へ報告する式典です。落成式も完成を祝う式典ですが、完成した建物を関係者に披露し、祝賀する意味合いが強くなります。

開所式や開業式は、施設や事業が新たに稼働・営業を開始することを正式に知らせる式典です。当日は、主催者や来賓の挨拶、テープカット、除幕、施設見学などを組み合わせることがあります。

また、工事の開始前には地鎮祭や起工式、工事途中の節目には上棟式が行われることもあります。これらは安全祈願や工事の節目を関係者と共有する、儀式性の高い式典です。

企業が式典を行う目的

企業が式典を行う目的

企業が式典を行う目的は、節目を祝うことだけではありません。社員や取引先などの関係者へ感謝を伝え、会社の理念や価値観、今後の方針を公式に共有することにも大きな意味があります。

式典を企画する際は、開催すること自体を目的にせず、式典後に参加者へどのような理解や感情、行動の変化を生み出したいのかを明確にすることが大切です。

節目や成果を公式な記録として共有する

式典には、会社や団体にとって重要な出来事を、組織として正式な節目に位置づける役割があります。代表的な例は、創立周年、施設の完成、新事業の開始、目標の達成、受賞や社員の功績などです。

日常業務とは区切られた場を設け、関係者が同じ出来事を共有することで、その成果や節目を組織の記憶として残しやすくなります。また、周年式典や竣工式などでは、これまでの歩みを振り返るだけでなく、次の目標や新たな出発を示す機会にもなります。

社員や取引先などの関係者へ感謝を伝える

企業の成長や事業の継続は、社員だけでなく、顧客、取引先、協力会社、地域関係者、創業者や歴代の関係者など、多くの人の支えによって成り立っています。式典は、こうした関係者へ組織として正式に感謝を伝える場です。

ただし、参加者を招くだけでは、感謝の意図が十分に伝わらないことがあります。「誰の、どのような貢献に感謝するのか」を明確にし、挨拶や表彰、映像などを通じて具体的に伝えることが必要です。感謝の対象を整理することで、招待者やプログラムも決めやすくなります。

理念・価値観・将来の方針を伝える

式典は過去を振り返るだけでなく、企業がこれから目指す方向を伝える機会でもあります。会社の歴史やこれまでの成果を現在につなげたうえで、今後のビジョン、経営方針、社員に求める行動などを共有します。

社員向けの式典では、理念や価値観を日々の仕事と結びつけて伝えることで、組織として重視する考え方をそろえやすくなります。社外の関係者を招く場合は、企業姿勢や将来性を発信し、今後も関係を築いていく意思を示す場にもなります。

参加者の一体感や関係性をつくる

同じ時間や場所、メッセージを共有することも、式典を行う目的の一つです。普段は接点の少ない部署や拠点の社員が集まることで、組織全体への理解が深まり、新たな交流が生まれることがあります。

また、社員と経営層が同じ場に参加したり、取引先や協力会社と将来の方針を共有したりすることで、立場を越えた関係づくりにもつながります。

ただし、「参加者を盛り上げること」だけを目的にすると、式典で伝えるべき内容が曖昧になりかねません。式典後に、参加者同士でどのような関係を築き、どのような行動につなげてほしいのかまで考えて目的を設定することが重要です。

自社に適した式典を決めるための4つのポイント

自社に適した式典を決めるための4つのポイント

式典の種類や演出を決める前に、開催目的、参加者、中心メッセージ、開催形式の4点を整理します。この4点が明確になると、自社に合う式典の方向性だけでなく、必要な会場、進行、予算、外注する範囲も判断しやすくなります。

何のために行うのかを決める

まずは、式典を開催する目的を明確にします。「周年を祝う」「社員を表彰する」といった式典名だけで考えるのではなく、開催後に何を実現したいのかまで言語化することがポイントです。

たとえば、次のように設定します。

  • 社員に会社の将来像を理解してもらう
  • 取引先へ感謝と今後の方針を伝える
  • 優れた行動や成果を全社で共有する
  • 新施設の役割を地域や関係者に知ってもらう

目的が曖昧なままでは、挨拶や映像、表彰、交流企画などを追加しても、それぞれの内容がつながりにくくなります。式典後に参加者へどのような理解や感情、行動の変化を生み出したいのかを基準に考えましょう。

誰に参加してもらうのかを決める

次に、式典へ招く対象者を整理します。参加者には、社員、役員・経営層、社員の家族、顧客、取引先、株主、地域関係者、メディアなどが考えられます。

誰を招くかによって、式典に求められる正式度や内容は変わります。社員のみで行う場合は、社内方針の共有や一体感の醸成を重視しやすくなります。一方、取引先や来賓、メディアを招く場合は、招待方法、受付、席次、挨拶、進行などに、より丁寧な配慮が必要です。

すべての関係者を招くのではなく、開催目的を達成するために、誰に参加してもらう必要があるのかを考えることが大切です。

何を伝えるのかを一文にまとめる

目的と参加者を整理したら、式典の中心となるメッセージを一文にまとめます。次の型に当てはめると、式典を通じて実現したいことを整理しやすくなります。

〔対象者〕に、〔伝えたい内容〕を伝え、式典後に〔実現したい状態〕になってもらう。

【社員向けの周年式典の場合】

全社員に、会社の10年間の歩みと次の方針を伝え、自分の役割を考えてもらう。

【取引先向けの記念式典の場合】

取引先に、これまでの協力への感謝と今後の事業方針を伝え、引き続き関係を深めたいと感じてもらう。

演出やプログラムを先に決めるのではなく、この中心メッセージから逆算して内容を選ぶことで、式典全体に一貫性を持たせやすくなります。

式典単体か、イベントを組み合わせるかを決める

最後に、公式な式典のみを行うのか、懇親会や参加型企画などのイベントを組み合わせるのかを決めます。

主な開催形式には、次のようなものがあります。

  • 式典のみ
  • 式典+懇親会
  • 式典+表彰
  • 式典+記念公演
  • 式典+施設見学
  • 式典+参加型企画

たとえば、周年式典の後に懇親会を設ければ、会社の歴史や方針を公式に共有したうえで、社員や取引先が交流する時間をつくれます。竣工式と施設見学を組み合わせれば、完成を祝うだけでなく、新施設の役割や特徴を具体的に伝えることが可能です。

式典の公式性と、イベントが持つ交流・体験の価値をどのように組み合わせるかは、開催目的と参加者に合わせて判断します。

【式典の方向性を整理するチェックリスト】

□ 式典後に実現したい状態を決めた

□ 参加してもらう対象者を整理した

□ 中心メッセージを一文にまとめた

□ 式典のみか、イベントを組み合わせるかを決めた

ここまで整理できたら、次に必要な情報を確認し、具体的な準備へ進みましょう。

次に知りたいこと確認する記事
準備の進め方式典準備チェックリスト
一般的な進行式典の進行・流れ
予算の考え方式典の費用相場
会場の探し方式典の会場選び
外注先の探し方式典プロデュース会社の選び方

式典に関するよくある質問

式典に関するよくある質問

式典と式は同じ意味ですか?

式典と式は近い意味で使われますが、使われる範囲に違いがあります。「式」は、入学式、卒業式、結婚式など、個別の正式な行事を指すことが多い言葉です。一方、「式典」は、祝賀や記念、表彰などを目的として、一定の形式や進行に沿って行う行事を表す傾向があります。

記念式典とはどのような式典ですか?

記念式典とは、創立周年、受賞、施設完成、事業目標の達成など、特定の出来事や節目を記念して行う式典です。これまでの歩みや成果を振り返り、関係者へ感謝や今後の方針を伝える場として実施されます。周年式典は、記念式典の一種として整理できます。

式典は社内向けと社外向けのどちらで行いますか?

式典は、開催目的によって社内向けにも社外向けにも行われます。社員だけを対象にする形式、取引先や顧客などの社外関係者を招く形式、両者を招く形式があります。誰に何を伝えたいのかを先に整理し、目的に合う参加者を決めることが大切です。

式典と懇親会は同時に開催できますか?

式典と懇親会は、同じ日に続けて開催できます。公式な式典で会社の節目や方針を共有した後に懇親会を設けることで、メッセージの共有と参加者同士の交流を両立しやすくなります。式典と懇親会は、それぞれの目的を明確に分けて構成することがポイントです。

自社の目的に合った式典づくりはIKUSAにご相談ください

式典を成功させるには、形式を整えるだけでなく、「誰に何を伝え、式典後にどのような状態になってほしいか」を明確にし、進行や演出へ反映することが大切です。

IKUSAでは、周年式典や表彰式、社員総会などを対象に、目的や参加者の整理から、コンセプト・プログラムの設計、会場選定、進行台本、映像・音響・照明、当日運営まで幅広くサポートしています。

式典後の懇親会や参加型企画を組み合わせ、公式なメッセージの共有と参加者同士の交流を両立させることも可能です。自社に適した形式や必要な準備が分からない場合は、企画段階からお気軽にご相談ください。

まとめ

まとめ

式典とは、祝賀や記念、表彰などを目的として、一定の形式や進行に沿って行われる公式な行事です。開催目的、進行の形式、主催者や参加者の役割が明確である点に特徴があります。

企業では、周年式典、表彰式、社員総会、竣工式など、目的に応じてさまざまな式典が行われます。また、式典とイベントは対立するものではなく、懇親会や参加型企画を組み合わせることも可能です。

企画を始める際は、まず「誰に、何を伝え、式典後にどのような状態になってほしいか」を一文で整理し、自社に適した式典の種類を検討しましょう。